あらすじ
CASE 01『正解の外側』
~すべての正解が視える俺が、答えのない少女と世界を変えるまで~
「廃棄層」と呼ばれる場所で、少年は番号で呼ばれていた。
五一七——それが、十六歳の少年カイの名前だった。有害な廃液を素手で処理し、監督官に殴られ、灰色のペーストを食べて眠る毎日。カイには、誰にも言えない秘密がある。目的を決めると、最善の道筋が金色の線として視えるのだ。三年前、その力が目覚めるのと引き換えに、たったひとりの家族を失ってから——カイは冷たさを防具にして、地上への脱出だけを考えて生きてきた。
そんなある日、カイの隠れ家に、見知らぬ少女が座っていた。
白に近い銀色の髪。名前しか覚えていないという記憶。異常なほどの観察力と、根拠を言えない「なんとなく」で正解を引き当てる不思議な勘。少女・リーンは、あっさりと笑ってこう言った——「じゃあ私が名前をつけてあげようか。カイ、とかどう?」
それは、母だけが知っていた、少年の本当の名前だった。
出会うはずのなかった二人の脱出計画が、動き出す。地上は本当に、毒の大気と灼熱の荒野なのか。少女は、何者なのか。そして「空」の下で二人を待っていたのは——誰も泣かない、静かな石畳の街だった。










